RI Careers Interview: 企業価値創造の受託者責任を果たすには「非財務資本(ESG)と企業価値(ROE)の同期化」が必須

エーザイ専務執行役CFO(最高財務責任者)柳良平氏が現在までのESGキャリアパスをResponsible Investorに語りました。

現在のあなたのポジションについて教えてください。

エーザイ専務執行役CFO(最高財務責任者)兼早稲田大学大学院客員教授を務めております。
1週間の大まかな業務スケジュールを教えてください。また、1日の流れについても教えてください。
兼業もあり、スケジュールは非常に多彩です。大学の授業に加え、年間約200件の海外投資家との面談も含め、隔月で海外出張もあります。

あなたの責任投資・ESG以外の分野でのキャリアパスについて教えてください。

経済学の博士号、米国公認管理会計士の資格を有し、外資系投資銀行も含めて財務の専門家のキャリアを歩んできましたが、今や企業価値の大宗は非財務資本、ESGの価値に変遷してきたことに着目して、企業価値創造の受託者責任を果たすには「非財務資本(ESG)と企業価値(ROE)の同期化」が必須であるという結論に至りました。特に2013年のIIRC(国際統合報告評議会)のフレームワークに刺激を受けて、IIRCの非財務資本とPBR(株価純資産倍率)を結ぶモデルを考案して、実証研究で裏付けをしています。英文図書も出版し、IIRCの前CEOである、Richard Howitt氏に拙著の推薦など多大なる支援を頂きました。

あなたが感じる持続可能な金融・投資と現在のメインストリームの金融業界それぞれの企業文化に相違点を教えてください。

金融界では未だに短期主義や財務情報の偏重が見られます。今後はESGや非財務資本に着目して企業価値を評価するようシフトして、金融からの社会貢献を加速すべきです。

あなたの考える持続可能な就労環境とはどのようなものですか。

公正、フェアであることだと思います。多様性、平等性、融通性、実力重視などが職場で確保されるべきです。

あなたがキャリア初期のご自身にアドバイスをしたいこと、またやっておけばよかったと実感することを教えてください。

財務知識に加えて、早い段階からESGや非財務の価値を研究すべきだったと思います。

これから責任投資・ESGキャリアを築く人たちにどのようなアドバイスを送りますか。

企業の経営幹部には、海外経験、ESGの知識、財務理論、非財務資本と企業価値の関係を証明する実証研究のスキルが求められると思います。

今後、責任投資・ESGのキャリア機会の成長が見られると思われる分野を教えてください。 

ESGを重視する企業の財務部門、ESG投資家・アナリストなどに有望な機会があると思います。

簡単なこれまでの経歴を教えてください。

銀行支店長、メーカーIR・財務部長、UBS証券エグゼクティブディレクター等を経て2009年よりエーザイ、現職CFO。早稲田で10年以上教鞭を執る。ESG関連の主著に「ROE経営と見えない価値」(編著:中央経済社)

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